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クリニックで治療開始！私が「はげは治る」と実感した日
僕が自分の頭頂部に違和感を覚え始めたのは、32歳の時だった。合わせ鏡で後頭部を見た時、そこには自分が思っていたよりもずっと白い地肌が広がっていた。その日を境に、僕の心は「はげ」という二文字に支配された。電車に乗れば他人の視線が頭に突き刺さるように感じ、友人との飲み会でも、ふとした瞬間に自分の頭が話題になっていないかと、気が気ではなかった。育毛シャンプーを試し、亜鉛のサプリを飲み、黒い粉で頭皮を隠す日々。しかし、そんな付け焼き刃の対策では、進行する薄毛と、それに比例して失われていく自信を止めることはできなかった。このままではダメだ。悩んだ末に僕が向かったのは、AGA専門のクリニックだった。医師は僕の頭皮をマイクロスコープで確認しながら、「典型的なAGAですね。でも、まだ毛根はしっかり生きていますから、治療すれば改善の見込みは十分にありますよ」と力強く言ってくれた。その言葉に、僕は暗闇の中で一筋の光を見た気がした。その日から、フィナステリドとミノキシジルの内服薬を毎日飲む治療が始まった。最初の3ヶ月は、正直言って地獄だった。薬が効き始める過程で起こる「初期脱毛」で、抜け毛はむしろ増えたのだ。「騙されたんじゃないか」とさえ思った。それでも、医師の「これは効いている証拠です」という言葉を信じ、ただひたすら薬を飲み続けた。変化の兆しは、半年が過ぎた頃に訪れた。シャンプーの時の指に絡まる毛が、明らかに減ったのだ。そしてある朝、鏡の前で髪をかき上げた時、僕は思わず声を上げた。頭頂部に、産毛がびっしりと生えていたのだ。それは、何年も見ることのなかった光景だった。それから一年、二年と治療を続けるうちに、産毛は力強い髪に育ち、地肌の透け感はほとんど気にならなくなった。「はげは治る」。かつては信じられなかったその言葉を、僕は自分の髪で、そして取り戻した自信で、はっきりと実感していた。あの日の僕の決断は、間違いなく人生を変える一歩だったのだ。