薄毛治療において最も脱落者が多いのが治療開始直後に訪れる脱毛の時期ですが、この時期をどう乗り越えるかがその後のフサフサな未来を手に入れられるかどうかの分かれ道となります。あなたがもし今、育毛剤を使い始めたのに抜け毛が増えて絶望しているのなら、それは絶望する場面ではなくむしろ歓喜すべき瞬間であると認識を変える必要があります。なぜなら初期脱毛が起きているということは、あなたの頭皮にある毛母細胞が薬剤の成分にしっかりと反応し、長年眠っていたあるいは弱っていたヘアサイクルを強制的にリセットして正常な成長期へと移行させようとしている何よりの証拠だからです。この現象は副作用というよりも主作用の一部であり、好転反応と呼ばれる体の回復過程で見られる一時的な症状の一種であるため、ここで怖気づいて使用を中止してしまうことは、せっかく芽が出ようとしている花壇を自ら踏み荒らすような行為に等しいと言えます。多くの人がこの魔の期間に耐えきれず、自分には合わないと判断して別の育毛剤に変えたり治療そのものを諦めたりしてしまいますが、それではいつまで経っても新しい髪が生える土台が出来上がらず、永遠に薄毛の悩みから解放されることはありません。大切なのは短期的な見た目の変化に一喜一憂するのではなく、最低でも半年から1年という長期的なスパンで物事を見ることであり、今抜けている髪は遅かれ早かれ抜ける運命にあった寿命の短い髪なのだと割り切って、これから生えてくる新生毛のために頭皮環境を整えることに注力すべきです。抜け毛の量にばかり気を取られず、生活習慣を整えたりタンパク質を多く摂取したりと、髪の成長をサポートする行動を積み重ねることで、必ずトンネルの出口は見えてくるはずです。薄毛治療を開始したすべての人が必ずしも激しい抜け毛を経験するわけではなく、実は初期脱毛が顕著に現れる人とほとんど気付かないレベルの人にはいくつかの違いと共通点が存在します。まず一般的に言われているのは、AGAの進行度が比較的進んでおりヘアサイクルが乱れている毛根が多い人ほど、治療によって一斉に休止期から成長期へのリセットがかかるため、まとめて髪が抜ける量が多くなりやすいという傾向があります。一方でまだ薄毛がそれほど進行していない段階で予防的に治療を始めた場合や、ヘアサイクルの乱れが軽度である場合は、生え変わりが緩やかに行われるため目に見えるほどの脱毛を感じないことも珍しくありません。また使用する薬剤の種類や濃度によっても差が生じ、内服薬のミノキシジルタブレットのように全身の血流に乗って強力に作用する薬を使用した場合は外用薬のみの場合と比較して初期脱毛が激しく出る傾向にあり、これは薬効の強さと初期脱毛の程度がある程度相関していることを示唆しています。しかしここで注意が必要なのは、初期脱毛がないからといって薬が効いていないわけではないということであり、抜け毛が増えなくても内部では着実に細胞の活性化が進んでいるケースも多々あるため、抜け毛がないことに不安を感じて薬の量を勝手に増やしたりする必要はありません。