現場で多くのお客様を担当させていただく中で、薄毛や猫っ毛のお悩みを持つ方からの縮毛矯正のオーダーは非常にデリケートで高度な技術を要する施術の一つであり、単にマニュアル通りに薬剤を塗ってアイロンを通すだけでは確実にお客様を不幸にしてしまうという危機感を常に持っています。私たちプロの美容師が薄毛を目立たせないために行っているテクニックの一つに「根元の立ち上がりを計算した薬剤塗布」がありますが、これは頭皮に対して薬剤を塗る位置をミリ単位で調整し、ボリュームが欲しいトップの部分はあえて新生部(新しく生えてきた部分)を長めに残したり、薬剤のパワーを極限まで弱めたものを使用したりすることで、髪の芯にある反発力を温存させる手法です。さらに重要なのがアイロン操作における「アール抜き」と呼ばれる技術で、髪を板のように真っ直ぐプレスするのではなく、手首のスナップを効かせて大きな円を描くように熱を通すことで、仕上がりに柔らかな丸みを持たせ、頭皮に張り付くような人工的な直毛感を排除することができます。また、お客様の骨格や毛流を見極め、つむじ周りや分け目がパカッと割れてしまわないように、毛束の引き出し角度を工夫して、毛根の向きを矯正しながら固定するという裏技も駆使しています。薄毛を気にされているお客様の場合、全体のくせを100%伸ばすことをゴールにするのではなく、70%から80%程度の伸び率に留めておくことで、残り20%のくせをボリュームとして利用するという「残しの美学」も提案させていただくことが多く、これにより地肌の透け感をカモフラージュしながら、扱いやすさも手に入れることが可能になります。縮毛矯正は一度かけると元に戻すのが難しい施術だからこそ、安さや手軽さで選ぶのではなく、こうした細かいニュアンスを理解し、薄毛というコンプレックスに寄り添ってくれる美容師を見つけることが、成功への最大の近道であると断言できます。
美容師が教えるボリューム維持の高度な矯正術