私は三十代半ばのシステムエンジニアですが数年前に大規模なプロジェクトのリーダーを任され毎日のように終電で帰り自宅でも深夜までパソコンに向かうという激務の日々が続き平均睡眠時間は三時間という極限の生活を送っていました。そのような生活が半年ほど続いたある日朝起きて枕元を見るとこれまで見たこともないほどの大量の抜け毛が散乱しておりシャンプーをするたびに排水溝が真っ黒になるという恐怖の体験をしました。鏡を見るとかつてはフサフサだった前髪や頭頂部がスカスカになり地肌がくっきりと透けて見えるようになっておりこのままでは三十代にして完全にハゲてしまうという絶望感に襲われましたが仕事のプレッシャーから逃れることはできず睡眠不足の毎日は続きました。同僚からも最近疲れているねという言葉と共に視線が頭部に向かっているのを感じるようになり人と話すことさえ億劫になっていましたがプロジェクトがようやく一段落したのを機に本気で自分の体と髪の毛に向き合うことを決意しました。皮膚科を受診すると医師からは典型的なストレスと睡眠不足による休止期脱毛症であると診断されどんなに高価な薬を使っても睡眠をとらなければ治らないと厳しく指導されました。そこで私はまず睡眠の質を徹底的に改善することから始め寝室のカーテンを完全遮光のものに変え体に合ったマットレスとオーダーメイドの枕を新調して寝具に投資を行いました。また仕事が終わって帰宅した後は絶対に仕事のメールを見ないというデジタルデトックスのルールを自分に課し入浴後はカモミールティーを飲みながら読書をして脳をリラックスさせるようにしました。さらに食事も自炊を心がけ髪の材料となるタンパク質や亜鉛ビタミンを意識的に摂取すると共に休日は適度な運動を取り入れて心地よい疲労感を作ることで夜の入眠をスムーズにする工夫も行いました。最初のうちは長年の習慣が抜けずなかなか寝付けない夜もありましたが一ヶ月二ヶ月と続けるうちに自然と夜十時には眠くなり朝六時にスッキリと目覚めるという健康的なサイクルが定着してきました。すると驚くべきことに睡眠が改善されてから三ヶ月が経過した頃から抜け毛の量が目に見えて減り始め枕元に落ちる毛が数本程度にまで減少しました。さらに半年が経つ頃にはスカスカだった頭頂部にツンツンとした短い毛が無数に生え始め美容院でも髪にコシが出てきたと褒められるまでになり一年後にはほぼ元の毛量を取り戻すことに成功しました。この体験を通して私が痛感したのは人間の体は機械ではなく休息を与えなければ必ずどこかに限界が来るということであり髪の毛は心身の健康状態を映し出すバロメーターであるということです。睡眠を削ってまで頑張ることは美徳のように語られることもありますが失った髪と自信を取り戻す苦労を考えれば毎日の睡眠こそが最も費用対効果の高い自己投資であり健康な髪を維持するためにはぐっすりと眠ることが何よりの特効薬なのだと声を大にして伝えたいです。
激務による睡眠不足で抜け毛が激増した私の回復録