古くからヨーロッパで「緑の血液」とも呼ばれ、健康や美容のために親しまれてきたハーブ、ネトル。その多様な効能の中でも、近年特に注目を集めているのが、薄毛に対するアプローチです。なぜ、この一杯のハーブティーが、髪に悩む多くの人々の希望となっているのでしょうか。その理由は、ネトルが含む栄養素の豊富さと、男性型脱毛症（AGA）の原因に働きかける可能性のある成分にあります。ネトルには、ビタミンやミネラルが非常にバランス良く含まれています。特に、健康な髪の毛の生成に不可欠とされるケイ素（シリカ）や亜鉛、鉄分を豊富に含有している点が大きな特徴です。これらのミネラルは、頭皮の血行を促進し、毛母細胞に栄養を届ける土台を整える役割を担います。つまり、髪が育つための畑を、内側から豊かにしてくれるのです。さらに注目すべきは、β-シトステロールという成分の存在です。研究段階ではありますが、このβ-シトステロールには、AGAの主な原因物質であるジヒドロテストステロン（DHT）の生成を抑制する働きがあるのではないかと期待されています。DHTは、毛乳頭細胞の働きを阻害し、ヘアサイクルを乱すことで薄毛を進行させます。ネトル茶を飲むことで、このDHTの働きを穏やかにし、抜け毛を減らすサポートができる可能性があるのです。もちろん、ネトル茶は医薬品ではなく、その効果には個人差があります。しかし、日々の生活に手軽に取り入れられる自然の恵みとして、体の内側から頭皮環境を整え、健やかな髪を育むためのサポート役として、試してみる価値は十分にあると言えるでしょう。