薄毛治療において、効果が停滞してきたと感じた時や、さらなる発毛を目指したい時に行われるのが「薬の濃度アップ」ですが、多くの患者さんが不安に思うのが「濃度を上げたらまたあの辛い初期脱毛が来るのか?」という点です。結論から申し上げますと、薬の濃度を上げたタイミングで2回目の初期脱毛が起こる可能性は十分にあり、むしろそれは高濃度の薬剤がしっかりと毛根に作用している証拠でもあります。例えば、ミノキシジルの外用薬を5%から15%に変更したり、内服薬の用量を増やしたりすると、これまで低濃度の刺激では目覚めなかった頑固な休止期の毛包が、より強力な血流促進作用や細胞活性化シグナルを受け取ることで活動を開始します。すると、毛穴の奥で新しい髪が急激に成長を始め、それまで留まっていた古い髪を押し出す現象が起こるため、一時的に抜け毛が増加するのです。これは「良いリセット」であり、この後に生えてくる髪は以前よりも太く、強く、密度が高いものになる期待が持てます。しかし、1回目の治療開始時と比べると、既に多くの毛根が成長期に入っている状態であるため、脱毛の規模や期間は軽く済むことが一般的です。「また抜けるのか」と憂鬱になる気持ちは痛いほど分かりますが、濃度アップによる初期脱毛は、いわば「エンジンの出力を上げて、より高みを目指すための助走期間」のようなものです。このメカニズムを知らずに、「薬を変えたら抜けたから合わないんだ」と勘違いして元の濃度に戻してしまったり、治療をやめてしまったりするのは非常にもったいないことです。濃度変更を提案された際は、医師から2回目の初期脱毛のリスクについてしっかりと説明を受け、心構えをしておくことで、無用な不安を感じることなく、さらなるフサフサへのステップアップを受け入れることができるでしょう。薄毛治療において「脱毛」という言葉はネガティブな響きを持ちますが、こと「2回目の初期脱毛」に関しては、治療が順調に進み、体が正常な状態を取り戻そうとしている「好転反応」であるとポジティブに捉える思考法を持つことが、治療を成功させるための重要な鍵となります。考えてみてください。AGAによって乱され、短縮してしまっていたヘアサイクルが、薬の力によって正常な長さに戻ろうとする過程で、古い角質が剥がれ落ちるように、古い髪が抜けていくのは自然の摂理です。2回目の初期脱毛が来たということは、あなたの頭皮の下では、1回目の治療では目覚めなかった「眠れる獅子」のような毛根たちが、ようやく活動を開始し、戦列に加わろうとしている合図かもしれません。あるいは、最初に生えてきた産毛のような髪が、一度抜けることで、次はより太くたくましい「大人の髪」へと進化するための準備期間かもしれません。そう考えれば、排水溝に溜まる抜け毛は「悲劇の証拠」ではなく、「最強の髪軍団への入れ替え作業」に見えてくるはずです。また、2回目の初期脱毛を経験できるということは、あなたが1回目の壁を乗り越え、治療を継続できたという「継続力」の証明でもあります。多くの人が最初の初期脱毛で脱落してしまう中で、ここまで辿り着けた自分を誇りに思いましょう。
薬の濃度アップで2回目の初期脱毛は起こるのか?