三十歳を過ぎた頃から気になり始めた、生え際の後退と頭頂部の透け感。見て見ぬふりを続けていたが、ある日撮られた写真に映る自分の姿に愕然とし、僕はついにAGA治療の門を叩くことを決意した。そして、幸運なことに、僕は多くの人が羨む「効果が早い人」の部類に入ることができた。治療開始からわずか四ヶ月で、抜け毛は明らかに減り、髪にハリとコシが戻ってきたのだ。なぜ、僕の体は治療に素早く反応してくれたのか。今振り返ると、そこにはいくつかの明確な理由があったように思う。まず、最大の要因は「早期の決断」だったと確信している。「まだ大丈夫だろう」「もう少し様子を見よう」という、多くの人が陥りがちな先延ばしの誘惑を断ち切り、薄毛を自覚してから比較的早い段階でクリニックに相談したことが、何よりも大きかった。医師からも「毛母細胞がまだ元気なうちに治療を始められたのが良かったですね」と言われた時、自分の決断が間違っていなかったと心から安堵した。次に、僕は治療開始を人生の転機と捉え、「生活習慣の抜本的な見直し」を断行した。長年の習慣だった喫煙をきっぱりとやめ、毎晩の晩酌も週二回に減らした。食事は、鶏胸肉や豆腐、ブロッコリーといったタンパク質とビタミンが豊富なメニューを中心に自炊を心がけた。そして、どんなに疲れていても週に三回はジムに通い、汗を流した。これらは、髪のためだけでなく、自分自身を大切にするための投資だと考えた。最後に、僕は医師を心から信頼し、その指示を愚直なまでに守り続けた。毎日同じ時間に薬を飲むことはもちろん、定期的な通院を一度も欠かさなかった。診察の際には、些細な不安や疑問も率直にぶつけ、医師とのコミュニケーションを密にした。この二人三脚の体制が、治療への迷いをなくし、精神的な安定をもたらしてくれた。AGA治療の効果の速さは、単に薬との相性だけでなく、自分自身の強い意志と、それを支える具体的な行動によって、大きく左右されるのだと、僕は自身の経験を通じて確信している。