「はげを治したい」と考えた時、薬やクリニックでの治療と並行して、多くの方が意識するのが「食生活の改善」です。バランスの取れた食事が体に良いことは誰もが知っていますが、果たして、食べ物だけで「はげ」は治るのでしょうか。残念ながら、食事内容を変えるだけで、AGA(男性型脱毛症)が完治するということはありません。AGAの根本原因は遺伝とホルモンであり、それを食事だけでコントロールすることは不可能だからです。しかし、だからといって食事が無関係というわけでは決してありません。私たちの髪の毛は、日々の食事から摂取する栄養素を材料として作られています。つまり、食生活は、健康な髪を育てるための「土台」であり、薬による治療効果を最大限に引き出すための重要な「サポート役」なのです。では、具体的にどのような栄養素が髪に良いのでしょうか。まず、最も重要なのが「タンパク質」です。髪の主成分はケラチンというタンパク質であり、肉、魚、卵、大豆製品などから良質なタンパク質を十分に摂取することが、丈夫な髪を作る基本となります。次に、「亜鉛」です。亜鉛は、タンパク質を髪の毛に合成する際に不可欠なミネラルで、不足すると髪の成長が妨げられます。牡蠣やレバー、赤身肉などに多く含まれます。そして、「ビタミン類」も欠かせません。特に、ビタミンB群は、頭皮の新陳代謝を促し、皮脂のバランスを整える働きがあります。豚肉やレバー、うなぎなどに豊富です。また、ビタミンEは、血行を促進して毛根に栄養を届ける手助けをします。ナッツ類やかぼちゃ、アボカドなどが良い供給源です。これらの栄養素をバランス良く摂ることは、頭皮環境を健やかに保ち、薬が効きやすい状態を作ることに繋がります。食事だけで「はげ」は治りませんが、治療という名のエンジンをかけるなら、質の良いガソリン(栄養)を満タンにしておくことが、ゴールへの近道となるのです。
食生活の改善で「はげ」は治る?髪を育てる栄養のチカラ