筋トレは健康に良いものですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」の言葉通り、休息を挟まないオーバーワークや極限まで追い込むような激しすぎるトレーニングは、体内で大量の活性酸素を発生させ、これが頭皮や毛根細胞に深刻なダメージを与える原因となることがあります。活性酸素は本来、体内に侵入したウイルスなどを攻撃する免疫機能の一部ですが、増えすぎると正常な細胞まで酸化させてしまい、いわゆる「体のサビ」を引き起こします。頭皮の細胞が酸化するとコラーゲンが破壊されて皮膚が硬化し、血流が悪くなるだけでなく、毛母細胞のDNAが傷つけられて分裂能力が低下し、白髪や抜け毛の増加に繋がります。また、激しい運動による肉体的ストレスはコルチゾールというストレスホルモンの分泌を促し、これが血管を収縮させたり亜鉛などのミネラルを大量に消費したりするため、髪の成長に必要な栄養素が枯渇してしまうという事態も招きます。さらに、トレーニング中の食いしばりや緊張は首や肩の筋肉を凝り固まらせ、頭部への血流を物理的に阻害することも見逃せない要因です。こうしたリスクを回避するためには、抗酸化作用のあるビタミンCやE、ポリフェノールなどを食事やサプリメントで積極的に摂取すること、トレーニング後には十分な睡眠と休養を取って体の修復を図ること、そして入浴やマッサージで筋肉の緊張をほぐし血流を確保することが重要です。筋肉をつけたい一心で体を痛めつけてしまっては本末転倒であり、髪を含めた全身の健康美を目指すなら、適度な強度と十分なリカバリーを意識したスマートなトレーニング計画を立てることが求められます。美しい筋肉と豊かな髪、この二つを同時に手に入れることは決して不可能な夢物語ではなく、栄養摂取の戦略を少し工夫するだけで十分に実現可能です。まず基本となるのは、髪と筋肉の共通の材料である良質なタンパク質を十分に確保することであり、肉や魚、卵、大豆製品を毎食バランスよく取り入れることが大前提となりますが、ここで重要なのが調理法と脂質のコントロールです。脂っこい食事は皮脂の過剰分泌を招き頭皮環境を悪化させるため、揚げ物よりも蒸し料理や焼き料理を選び、良質な脂質であるオメガ3脂肪酸(青魚やえごま油などに含まれる)を摂取することで血流改善と抗炎症作用を狙うのが賢い選択です。次に意識すべきは、テストステロンの負の側面を抑え髪の成長を助ける微量栄養素、特に「亜鉛」と「ビタミンB6」の摂取です。亜鉛は細胞分裂に不可欠であり、かつ5αリダクターゼの働きを抑制する効果も期待できるミネラルで、牡蠣やレバー、ナッツ類に多く含まれています。ビタミンB6はタンパク質の代謝を助け、筋肉や髪への合成効率を高める働きがあり、カツオやマグロ、バナナなどが供給源となります。また、海藻類に含まれるミネラルや、抗酸化作用の高い緑黄色野菜も毎日のメニューに加えるべき強力なサポーターです。