抜け毛の悩みで病院を訪れた際、具体的にどのような診察や検査が行われるのか、その一連の流れを知っておくと、不安が和らぎ、安心して受診に臨むことができます。一般的な皮膚科や薄毛治療専門クリニックでの流れは、概ね以下のようになります。まず、受付を済ませると、問診票の記入を求められます。ここには、前述のような、抜け毛が気になり始めた時期や、生活習慣、家族歴などを記入します。この情報をもとに、次のカウンセリングや診察が進められます。次に、専門のカウンセラーや看護師、あるいは直接医師による「カウンセリング・問診」が行われます。問診票の内容を掘り下げながら、あなたの悩みや不安、治療に対する希望などを丁寧にヒアリングしてくれます。この段階で、薄毛のメカニズムや考えられる原因について、基本的な説明があることも多いです。そして、いよいよ医師による「診察」です。まず行われるのが「視診」です。医師が直接、あなたの頭髪や頭皮の状態を目で見て、薄毛の進行パターンや範囲、頭皮の色、フケの有無などを確認します。次に、多くのクリニックで用いられるのが「マイクロスコープ」による観察です。これは、特殊なカメラを使って頭皮を数十倍から数百倍に拡大してモニターに映し出すもので、あなた自身も一緒に見ることができます。毛穴の詰まり具合、一本一本の髪の毛の太さ、一つの毛穴から何本の髪が生えているか(毛密度)といった、肉眼では見えない詳細な情報を客観的に確認することができます。これらの診察でAGAなどが強く疑われる場合、あるいは他の病気の可能性を排除するために、追加の「検査」が行われることもあります。唾液や口腔内粘膜を採取して遺伝的なリスクを調べる「遺伝子検査」や、貧血や甲状腺機能、肝機能などを調べるための「血液検査」がその代表です。これらの診察と検査の結果を総合的に判断し、医師は最終的な「診断」を下し、あなたに最適な治療法を提案してくれる、という流れになります。