甲状腺疾患の治療は長期戦になることが多く、ホルモンバランスが整って発毛が始まるまでの数ヶ月から1年以上の間、薄くなった髪とどう付き合っていくかは、患者さんのQOL(生活の質)を維持し前向きに治療を続ける上で極めて重要な課題です。幸いなことに現代には様々な美容的ツールやテクニックが存在し、これらを賢く活用することで病気であることを周囲に悟られずに、あるいは以前よりも魅力的な自分を演出して過ごすことが十分に可能です。まず手軽で効果的なのが部分ウィッグ(トップピース)の活用で、頭頂部や分け目のボリュームが気になる場合にパチンと留めるだけで自然にカバーでき、最近では人毛ミックスや耐熱ファイバーなど安価で高品質なものが通販でも簡単に入手できるため、美容院に行く感覚で試してみる価値があります。全体的な薄毛が気になる場合はフルウィッグを選ぶことになりますが、これもファッションの一部として捉え、今まで挑戦できなかったショートボブや明るいカラーなど冒険的なスタイルを楽しむチャンスに変えてしまうのも一つのポジティブな戦略です。また、ウィッグに抵抗がある場合は、帽子やスカーフ、太めのカチューシャやターバンなどを活用したヘアアレンジを取り入れることで、生え際や分け目をおしゃれに隠すことができます。美容院でのオーダー方法も重要で、髪の根元に立ち上がりをつけるポイントパーマをかけたり、地肌が透けにくいように髪色を暗めのトーンに落としたり、あるいは思い切ってショートカットにしてトップにボリュームを持たせるレイヤーを入れたりすることで、薄毛を目立たなくさせるプロの技術を借りることもお勧めです。メイクアップにおいても、眉毛が薄くなっている場合はアイブロウティントを使用したり、顔色が優れない時はチークやリップで血色感を足したりすることで、視線を髪から顔の印象へと逸らす効果が期待できます。治療中の外見の変化は辛いものですが、隠すことだけに必死になるのではなく「今の自分をどう素敵に見せるか」という視点に切り替えることで、おしゃれを楽しむ心が免疫力を高め、結果として治療へのモチベーション維持にも繋がっていくのです。