AGA治療や育毛剤の使用を開始した直後に多くの人が直面し困惑するのが初期脱毛という現象であり、これは治療の効果がないのではなくむしろ薬が正常に作用し始めている証拠であると言えます。このメカニズムを正しく理解するためにはヘアサイクルという髪の毛が生え変わる周期を知る必要がありますが、通常、髪の毛は成長期と退行期と休止期というサイクルを数年単位で繰り返しており、薄毛の進行している頭皮ではこの成長期が極端に短くなり髪が太く育つ前に抜け落ちてしまう現象が起きています。ミノキシジルなどの発毛を促進する成分が頭皮に浸透すると休止期にあった毛包が急激に活性化されて新しい髪の毛を作り出そうとする動きが活発になりますが、その過程で毛穴の奥で新しく作られた健康で太い髪の毛が、今までそこに留まっていた古くて弱い髪の毛を押し出す形で生えてくるため、一時的に抜け毛が増えたように見えるのが初期脱毛の正体です。この現象はあくまで古い髪から新しい髪への入れ替わり作業であり、家のリフォームに例えるならば新しい柱を立てるために古い建材を撤去している段階に相当するため、ここで驚いて治療を中止してしまうことは非常にもったいない判断となります。一般的に初期脱毛は治療開始から2週間から1ヶ月程度で始まり、その後1ヶ月から2ヶ月ほど続くことが多いとされていますが、個人差が大きく全く気にならない程度の人もいれば洗髪時に排水溝が詰まるほど抜ける人もいます。重要なのはこの抜け毛が永遠に続くわけではないという事実を知り、むしろこれから生えてくる強い髪のための準備期間であると前向きに捉えることであり、鏡を見て落ち込むのではなく頭皮の中で細胞分裂が活発に行われていることをイメージしながら治療を継続することが成功への近道となります。ついに意を決してAGAクリニックに通い始め治療薬を飲み始めてからちょうど3週間が経過した頃、私は朝の枕元を見て血の気が引く思いをしました。そこには今まで見たこともないような量の抜け毛が散乱しており、さらにシャワーを浴びて髪を洗うたびに指に絡みつく大量の髪の毛を見て恐怖で震えが止まりませんでした。これが噂に聞いていた初期脱毛なのかと頭では理解しようと努めましたが、薄毛を治すために高いお金を払って薬を飲んでいるのに逆にハゲが進行しているという現実は精神的にあまりにも過酷で、毎朝鏡を見るのが憂鬱で仕方がない日々が続きました。クリニックの先生からは事前に説明を受けていたしネットでも一時的なものだという情報は得ていましたが、実際に自分の髪がごっそりと抜けていく様を目の当たりにすると、もしかしたら自分だけは薬が合わなくてこのまま全部抜けてしまうのではないかという疑念が頭をよぎり、薬を飲む手が止まりそうになる瞬間が何度もありました。
薄毛治療を始めた直後に髪が抜けるメカニズムの解説