一般的に薄毛といえば生え際の後退や頭頂部の薄毛いわゆる「O字ハゲ」や「M字ハゲ」が連想されがちで、これらはAGA(男性型脱毛症)の典型的なパターンとして広く認知されていますが、もしあなたの薄毛が「後頭部」を中心に進行している場合、それはAGAとは異なる全く別の原因が潜んでいる可能性が高く、体からの何らかのSOSであると捉えるべき重要なサインかもしれません。AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けにくいとされる後頭部は、通常であれば最後まで髪が残る場所であり、植毛手術のドナー部としても利用されるほど生命力の強い毛根が存在するエリアです。それにも関わらずこの部分が薄くなるということは、ホルモンバランス以外の要因、例えば重度の眼精疲労や首・肩の凝りによる血行不良が慢性化している可能性が第一に疑われます。現代人はスマートフォンの長時間使用やデスクワークにより後頭部の筋肉が常に緊張状態にあり、ここを通る太い血管が圧迫されることで毛根への栄養供給が断たれ、結果として局所的な栄養失調状態に陥っているケースが後を絶ちません。また、後頭部の薄毛は円形脱毛症の好発部位でもあり、ストレスによる自己免疫疾患の一種として突発的に発症することもあれば、帽子や枕による摩擦、あるいはシャンプーのすすぎ残しによる皮膚炎(脂漏性湿疹など)が原因となることもあります。さらに見逃せないのが内臓疾患との関連性で、東洋医学的な観点からは後頭部は腎機能や生殖器系と関連が深いとされ、極度の疲労や生活習慣の乱れが内臓機能を低下させ、それが後頭部の脱毛として現れている場合もあるのです。このように後頭部の薄毛は「AGAではないから大丈夫」と放置して良いものではなく、むしろ生活習慣病やストレス、物理的なダメージなど多岐にわたる原因が複合的に絡み合っている複雑な症状であるため、単に育毛剤を塗るだけでなく、自分の生活全体を見直し、必要であれば皮膚科や内科を受診して根本原因を突き止めるという多角的なアプローチが求められる、実は非常に奥深い体の警告なのです。